井上内親王生誕1300年新作能「斎王」奉納
去年の3月に五條に行った際に、こんなブログを書きました。
井上内親王の誕生をお祝いする、ということに感動して書いたエントリでした。
この後私は倉橋みどりさんとの講座でツアーを組むことになり、今年の5月に五條で井上内親王に思いを馳せるツアーを敢行いたしました。20人近くの参加者の皆さんと一緒に井上内親王ゆかりの場所をめぐるツアーでした。普段参拝できないお寺さんや本宮での正式参拝、源兵衛さんの心づくしのお料理、見た目も可愛くてとっても美味しいクリアンさんのお土産のお菓子まで、五條の皆さんにもたくさんご協力を頂いて、とても素晴らしいツアーになりました。
奈良時代の女性たちの祈りを歩く - 井上内親王五條ツアー開催致しました!... | Facebook
そして、このツアーをする際にお知り合いになった日本画家の杉本洋先生が中心となって新作能「斎王」の奉納を進めておられました。ツアーの日にも杉本先生にもお話をして頂きました。そしてその奉納が行われる10月8日、私も参加してきました。
当日は久々にいいお天気で、ちょっと夏が戻ってきたかな?と思うくらいに汗ばむ陽気。神社に到着すると、縦ではなくて横の紅白の幕が目に入ります。今回のために吉岡幸雄先生が染められた幕とのこと。実は一番上の段が、五條の茜をつかった赤根染めなのだそうです。ほかは五條以外のいろいろな紅で染めていますが、五條の赤根は落ち着いて深みのある赤でとても美しかったです(写真だとわかりにいくですが)
会場はこんな感じで影向の松も!
客席は日差しが少しづつのびて過ごしやすかったのですが、舞台の上はずっとライトが照っているように明るい!ので演者の皆さんは相当暑かったのではないでしょうか。お能の初心者にもわかりやすストーリーで、1時間半あっという間でした。
最後に井上内親王が舞うのですが、その時に、もともと日差しがあるのにさらにパッとスポットライトが当ったかのような場面があり、驚きました。もちろんそんなライトはどこにもないです。そして蝶々がたくさんみにきていて、ふわっと心地いい風が通り過ぎるのも何度もありました。神社の提灯も何度も何度もふわふわと揺れていたそうです。
5月のツアーの際に五條本宮の宮司さんが、井上内親王が喜んでいるとお祭りのときはよく晴れる、というようなお話をされていました。喜んでいらっしゃるんだなあ。
生まれて1300年たって。こうして五條の土地に暮らす人たちが内親王の誕生をお祝いする。改めて本当に凄いことだと思います。こういうふうに時間を飛び越えられてしまう人々がいるところ。昔生きた人たちを大切にしているところが、私は大好きです。
今回は本当にありがとうございました。
井上内親王のお父さんゆかりである東大寺近くの能楽堂でも、いつか上演してもらいたいなあと願っています。
五條にもまた遊びにいきます。
この写真はこの日のために特別につくられたお菓子井上内親王生誕1300年記念「斎王餅」。
五條の柿を使用した柿餡を茜染めの復興を願い赤根染めの色に見立てた皮で包んでいます。美味しかった!
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倉橋みどりさんとの講座は次回、11月8日に登大路ホテルのランチを一緒に食べながら楽しむ県犬養橘三千代です。井上内親王のお母さんは県犬養橘三千代と同氏族の県犬養氏の女性です。そのこともちょっと触れるかもしれないです。まだお席に余裕がありますので、よかったらぜひご参加くださいね。お申し込みはこちらから。
天皇になった皇女たちを作りたいと思った理由
新刊の発売イベントも一通り終わりました(東京の講演は出版記念イベントという形ではなくて、講座という形でお話します)。ご来場くださったみなさま、場所を提供してくださった書店の担当者の皆様、本当にありがとうございました。
啓林堂さんでは月末の30日まで上村恭子の原画を含めたイラストとフルコトの雑貨を販売しておりますので、近くにお立ち寄りの際はぜひよろしくお願い致します。
イベントでもお話しましたが、この本を作りたいと思った理由に古代の女性天皇を含む、古代の女性たちの存在に私が救われたことがある、ということがあります。
日本書紀や続日本紀などの歴史書を読み、奈良の様々な場所を訪ねていくことで、古代に生きた女性たちの生き生きとした姿を知りました。「女性の役割」というものを押し付けられて、それに反発して生きてきた私としては、(当然身分や状況は違いますが)様々な女性の生き方を知ることで、楽になった部分というのが確実にありました。「女だから」とされてきたことは別に昔から当たり前じゃない。と思えるきっかけになったのが古代の女性たちでした。そんな古代の女性たちの姿を、日本書紀や続日本紀を中心にまとめて、奈良のゆかりの土地を訪ね、その人に思いを馳せる本を作りたかったのです。さらに美しいイラストで女性たちのイメージを膨らませるために、イラストもふんだんに取り入れたいと思いました。
また、様々な資料を読んでいると、人物の事績を語る際に性格まで決めつて記載しているものが結構あることが多かったのです。「こういうことをしたんだからこういう性格のはずだ」と決め付けていることにもやもやしていて。そういうふうに書きたいなら小説を書いたらいいのに、と思ったことが何度もあったことも、今回の本を作った理由のひとつです。なので、人の目を引くようなセンセーショナルな見出しもありませんし、基本的に日本書紀や続日本紀に記載されていないことには触れていません。たとえば、「この人物が犯人のあの事件に触れていない」とか思われるかもしれませんが、その事件の犯人がこの人物とは実は書いていないんですよね。どこにも。
また、いつも「病死」とされている人だったり、自ら館に火をかけて死んだとされている人も、実はどこにもそれが書かれていなかったりもします。わりと通説と思われているようなことも実は後世の人間の想像、思い込みが入っていることも多いんだなあと、この数年の古事記・日本書紀にまつわる仕事をしていて感じることでした。なので、そのあたりをもう少しフラットに書いた本を作りたかったのです。
再婚相手の皇后になり自らも二度即位した皇女、二度目以降の男女の交わりを断ることを公言した皇女、夫にも息子にも先立たれ自らが即位し卓越した政治能力を発揮した皇女、息子の遺志により即位した母、生涯独身のまま即位した皇女、史上唯一の皇太子となった皇女などなど。様々な女性がいて、どんなふうに生きたのか。知って、奈良を旅して、彼女たちの思いが息づいているこの土地を感じてもらいたいです。
編集さんの案で年表も入れています。これがかなり旅をしているときにも、役にたつと思いますし、今の自分の年齢だとこの人はこんなことがあったのね、と知ることもできます。ぜひ活用してください。
イベントでも聞かれましたが、次に古代の女性たちをテーマに本を作るなら、奈良以外も含めて、全国のいろんな社寺や史跡に残る、古代の皇女にまつわる伝説・縁起、由来、由緒などをまとめた本を作りたいと思っています。さらにニッチなテーマなので出版社から出していただけるかはわかりませんが。もし無理でもいつか、自費出版で少部数でも出したいなあと思ってます。奈良だけではなくて、日本全国各地で。(善光寺の縁起に斉明天皇が登場すること、持統天皇と三河国、千葉の印旛沼と不破内親王のこと、北陸の元正天皇関係、近江の元明天皇関係、伊勢の斎宮のことなどなど。)いつになるかわかりませんが作りたいものを作っていこうと思います。
「天皇になった皇女たち」のご購入は全国の書店さん
またはこちらから
今ならフルコトからご購入いただくと、上村恭子イラストのメモ帳がつきます。
などでお求めください。
「奈良で出会う 天皇になった皇女たち」のイベントのお知らせです。
イベントの情報はこちらから
- 9/3 14時~ 啓林堂書店奈良店 トーク&サイン会(トークはどなたでも無料でご覧いただけます。サインは啓林堂書店さんかことのまあかりでお買い上げの方のみになります。レシートをお持ちください)
- 9/3 18時~ とほん(大和郡山)トーク&サイン会(後半は生駒、上村も所属しているココトソコノ制作室発行の「比礼ふる」のイベントになります。比礼ふるは8/30頃から一般発売いたします。
- 9/12 19時~ 枚方 T-SITE トークイベント(サインもします)。1500円で軽食つきです。少人数でざっくばらんにトークが出来ればと思っております。【イベント】「奈良で出会う 天皇になった皇女たち」出版記念トークイベント | 枚方 T-SITE
追加があればまた下記に記載していきますのでよろしくお願いします~。
見本誌も手元に届き、綺麗に印刷して頂いたことに感動しきりです。久々に出版社経由での書籍発売になりました。編集さんがいることの安心感と頼もしさ、自分が編集ディレクションの仕事をしているからこそ編集さんの仕事の素晴らしさがよくわかりました。自らの仕事ぶりを省みる機会にもなりました。私は作家じゃないし、研究者でもないのですが、その立場だから書けるものを書いたつもりです。本書を通じて、読んでくださる皆様の想像の一助になれたらと思っています。
特設ページを作ってみました!ちょっとだけイラスト公開もしております。
奈良で出会う 天皇になった皇女たち 8/30刊行します
2017年8月30日に、淡交社さんより「奈良で出会う 天皇になった皇女たち」という本を上梓致します。
古代の女性たちがどんな生き方をしたのか、6人の天皇になった皇女たちの人生を辿り、奈良県内(一部県外もあり)ゆかりの場所を紹介した本です。
昨年、倉橋みどりさんと「奈良時代の女性たちの祈りを歩く」という講座をはじめてからますます、古代の女帝や皇女たちについて魅せられていきました。
現代の私たちの目の前に存在している遺跡、仏像、建築物の造形自体も好きなのですが、それをいつ誰がどういった思いでこれを作った、作らせたのかということを知るたびに、本にまとめたいなという思いが強くなりました。
歴史書は彼女たちの意志が「本当に」どこまで反映されているのかはわかりません。でも確かにここに存在していて、様々な思いを胸に生きていた。そのことを日本書紀や続日本紀の記述を元に、私個人の思いも込めて記しました。
表紙から中身にいたるまで、上村恭子さんの美しいイラスト満載の本です。女帝24点、皇女(と光明皇后)は各1点づつ。女性たちのイラストはすべて書き下ろしです。
古代の情景のイメージを手助けする恭子さんのイラストもぜひお楽しみください。
イベントお知らせ
※8月20日から、啓林堂書店奈良店さんで「上村恭子作品展」開催。発売日の8月30日からは本書の原画も展示します。(9月末までの予定)おでかけフルコトも開催しますので、フルコトの雑貨も販売します。
そして9月3日(日)には生駒あさみと上村恭子のトーク&サイン会を開催しますので、ぜひいらしてくださいねー。
◎本書でとりあげている女性
皇極(斉明)天皇
2011年以降に奈良好きになった方へのアンケート
今年のGWは去年と比べても凄くたくさん人出だったと思うんです。
2010年、東京に住んでいた私は、奈良市の人の多さに驚いて南部ばかり行きました(そして洞川にはまりました)。やはりメモリアルイヤー、宣伝もたくさんしていたし、イベントも多いし、(イベントの出演者目当ての観光客も多かったですね。)特別な年なんだなと実感したものです。
…と思っていたのですが、今年はあの年を上回って人がいたような気がします。外国人観光客もたくさんいたとは思うんです。が、日本人の旅行者もすごく多く感じました。(数字を見たわけではない、個人的な体感です。)
連休の並びがよかったり天気がよかったりというのも理由だと思いますが、そういえば奈良県外で奈良の宣伝って、以前と比べてどのくらい増えていてどのくらい訴求度が高まっているのかが気になってきました。今は奈良に住んでいるので、外の状況も知りたい~。あ、奈良県内にお住まいで、最近奈良にはまったという方もぜひご回答ください。
よろしくお願いします。
あ、今年も削氷はじめました。ことのまあかりでやってます。ぜひお越しください~。
旅人と地元人の「洞川の本」発行しました
旅人目線(私)と、地元目線(橋田頼子さん)の、ふたつの目線が1冊の本になった「洞川の本」、4月11日に刊行しました!
冒頭にも書いているのですが、洞川は本当に不思議なところです。もう数え切れないくらい行ってますが、何度行っても新しい発見があるし、出会いがあります。
2010年に「ふたりでいく奈良」を出したときもちょっとだけ触れてます。2012年に「マチオモイ帖」で「洞川帖」を発行しましたが、マチオモイ帖に出すということで作ったのが元になってました。「ならびたり」にも洞川のことを載せたり、ことあるごとに洞川を押してきましたが、いつか洞川だけのボリュームたっぷりの本を作りたい!と思い続けていました。なので念願がかなってうれしいです。
旅人パートの私のページには洞川がどんな場所なのか、修験道や役行者さんを抜いては語れないこと、洞川周辺のお勧めのページ、信仰が息づく洞川ならではの場所や、お祭のことなどなどを記しています。旅人目線ではありますが、1日2日行っただけではなくて、この7年間通って感じたことを書いたつもりです。また、旅人でありませんが2人の現役の行者さんにもインタビューさせていただきました。女人禁制の大峰山内のことを色々教えていただきました。行者さんてどういうことをしているのか、どうやったら修行ができるのか、などなど、詳しく記載してあります。男性で、大峰山に行かれる方、そして女性でも、行くことは叶わないけれど知りたい方に、ぜひ読んでもらいたいです。
そしてさらに、いつもお世話になっている、橋田頼子さんに「地元目線」のパートを書いていただきました。地元の人が愛する洞川の場所、人々、地元ならではの食事などなどを盛り込み、龍泉寺の院主さんと、頼子さんの娘さんに地元人対談をしていただきました。
今までにない本になっていると思います。ぜひぜひたくさんの方に読んでいただきたいです。
※一般書店には流通しておりません。
★奈良倶楽部 谷さんにブログでご紹介いただきました。
naraclub-naraclubpart2.blogspot.jp
通販はこちらからお願いします。
●発売場所
【奈良市】
フルコト
ことのまあかり
啓林堂書店各店
奈良倶楽部
koharucafe
【大和郡山】
とほん
【東京】
【天川村】
ゲストハウス一休
ブックカフェひとやすみ
みやそい
彰武
などなど・・・
丸三年たちまして。
奈良に移住して今日で丸三年たちました。あっという間でした。でもまだ奈良県民の実感が沸かないです(笑)
移住してきてから色々なことをしてきましたが、仕事ややることがあるとそちらを優先してしまうので、「どこかに行く時間」はとれても、「奈良のための日」を取れないことがなかなか辛いところです。行きたいところは色々あるのに、1日つかってあっちにいったりこっちにいったり、という計画がなかなか出来ないんですよね・・・
でもやはり、時間があればすぐにどこかに行くことができるのは良いなあと思います。「思い立って明日香」とか、本当に贅沢ですが、ちょいちょい行ってます。お花が咲いたり雪が降ったらその場に行けるというのは住んでいればこその楽しみ方ですね。
とかいって、昨年は仕事に相当追われていて(今もまだ追われていますが・・・)なかなか動きが取れなかったのも事実です。移住するときに「いつでもいける、と思いたくない」ということがあったのですが、物理的に出かけられないことも多かったので、今年は意識して出かけることにしたいと思います。今年の目標は、まだ行ったことがない行事などに毎月最低でも1回は行くことにしました。2月は長谷寺の「だだおし」に行って参りました。平日なこともあったり、今までなかなかいけなかったのです。迫力のあるお祭でした。また参拝したいです。三月はどこにしようかな。
そうこうしているうちに、明日から修二会本行が始まりますね。毎年途切れずに連綿と続く行事があること、祈りが続いているということは本当に凄いこと。ずっと途切れず続いてきていることなんて、奈良を好きにならなければ知りませんでした。
ほかの行事や、社寺さん自体や仏像などもそうなんですが、「ずっとある、ずっといる、ずっと信仰されてきた」ということでの安心感というのは、本当に大きいと思います。しんどいことやつらいことがあったら、奈良に来て、ずっと昔からあるものに出うだけで心が楽になるところがあるんじゃないかな。私はそう思ってます。
そんなことを思いながら、4年目の奈良はインプットにも力を入れて、奈良のことをもっともっと知る年にしたいです。倉橋さんとの古代女性の講演と、ほかにも色々決まってきているので、仕事もしつつ奈良を楽しみます。
※「いちる」の準備号は本日発送いたしました。明日以降順次届くと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
※洞川本やメルマガもまだ時間がかかっていて申し訳ないですが、お待ちいただけると幸いです~