奈良旅×生活

奈良旅のこと、奈良生活のこと。

そこかしこに佐保姫

 

f:id:asamiikoma:20180330141827p:plain

桜が満開になりましたね。例年より少し早いですが、咲き始めたら満開まであっという間でした。

最近はSNSにアップする人が多く、日本全国各地の桜の写真を見ることが出来ますが、同じ川べりに咲く桜でも、佐保川の桜は格別だなあと感じてしまいます。

なぜ格別と感じるのか。長さが5キロ以上にも及ぶだけではありません。それは佐保が春の代名詞であるから。平城京の東にある佐保には、春を司る女神が舞い降りてきます。平安時代の人たちはそのように想像し、色々な歌に佐保姫が詠まれました。(同一視されることがよくありますが、古事記に登場する佐保姫とは別人です)

平安時代になり平城の都が遠くなってから、都の人が想像する架空の女神。春がやってきて咲く桜は、春を告げる佐保姫の象徴のように思えます。美しい姫と満開の桜の花のイメージが重なりますね。

そしてもうひとつ、現代の私たちが佐保姫を想像して春の訪れを感じられるのは、佐保川をはじめ奈良に桜を植えた川路聖謨の偉業があってこそです。川路聖謨が桜を植えたからこそ佐保姫の存在に説得力が増しています。

川路聖謨の人生については2016年に刊行された下記の本に詳しいです。

桜奉行 幕末奈良を再生した男 川路聖謨

桜奉行 幕末奈良を再生した男 川路聖謨

 

ちょっとだけその場の歴史を知るだけで、場所の意味や季節の意味に深みが出てきます。これは奈良のことだけではく、ほかの地域もそうですね。過去のこと、何も知らないなんてもったいないと思うんですよ。感じ方がまるっきり変わりますから。

深く意味を感じることが出来たほうが、ちょっとお得じゃないですか?(笑)

 

追記

 佐保姫という女神がまつられている神社はきたまちにあります。佐保川天満宮という神社です。元々は若草中学校のあたりにあった佐保姫明神という神社でしたが、現在は一条通に面したところに鎮座しています。天満宮なので、毎月25日だけ門が開いて、近くでお参りできますので、この時期には門越しでもいいのでぜひ参拝してみてください。