奈良旅×生活

奈良旅のこと、奈良生活のこと。

中の人と外の人の間

 

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今年の夏新薬師寺。初の燈花会をされていました。

 

最近またしても自分の肩書きについて悩むことがありました。とはいえ大体悩んでも結論がでないので、その媒体に合う肩書きで書いてもらうしかないんですが。

私は今は奈良のことに関する仕事しかしていません。それが、執筆だったり店の経営だったり、雑貨制作販売だったり、イベントの企画だったり、デザインだったり、監修だったり、ディレクションだったり、観光案内だったり、講演だったりするだけで、題材はそれぞれですが、基本的に私がやれる範囲で、奈良のことしかやっていません。

しかし一般的にはメインの職があるのが対外的には分かりやすいですよね。文筆業なら「作家」とか「ライター」とか。店をやってるなら「雑貨店店主」とか「パティシエ」とか。わかりますわかります。奈良の観光案内関係の仕事で「店の店主」と肩書きを言われてもピンとこないだろうし、お店の取材に来られた人に本を出してるとかいっても、そういうところは求められていないというのもわかります。

こういうことを包括してやっている人だ、団体だ、というのをわかってもらうために、屋号をつけるということがあるんですが、お店の名前のほうが知られてしまっていると屋号と名乗ったところでわかりにくいというのもある。とはいえもう屋号(会社名)を名乗っておぼえてもらっていくしかないですけどね。横文字の、造語を使って自分の肩書きを新しく作るのはちょっと違うかなー。と思うので。しっくりくる言葉があればいいんですけど。

私自身としては奈良に軸足をおいていることで、しっかりとした芯があると思っているのだけれど、外からみるといろんなことに手を出してて軸が定まってないようにみえるのかもな~とも思います。(そう見られてることに対しては仕方ないかな~と思うので、別にどうにかしたいと悩んでるわけではありません)

というわけで、いろいろなことをやってはいますが、私は結局奈良で何をしたいのかな、と考えたところ

私は、奈良の中の人やものごとと、外の人物の間にいて、そこを結びたいのかな、と。

だったら広報的、情報発信的な仕事をしていれば十分では?とも思われがちですが、SNSで広報ができることを考えると、全部情報発信でもあるんですよね。お店をすることも情報発信のひとつだと思います。雑貨を作って販売することも。うちの店には奈良が好きだったり、奈良に興味を持ってる人たちも多数来てくれるし、伝えたいことをダイレクトに伝えられる、伝わっているという実感があります。

もう奈良に住んで5年目になるものの、長年通ってたこと、奈良に住んでいなかった自分というものは捨てられないし、今後もその部分は大事にしていきたいと思ってます。奈良が好きで来ている人たちとこれからも共感していきたい。奈良ってすごいねって言っていきたい。でも今は住んでいるわけで、遠くから来ている方たちよりはひょいひょいと行きたいところにすぐにいけるようになってます。生活しているからこそわかること、そこも大事にしたい。だから中の人と外の人の間でこれからもやれることをやっていこうと思います。

今までできてなかったことでこれから出来ることといえば、中の人に外の人たちのことを伝えるということでしょうか。奈良が好きな人たちはこんなにたくさんいるんだよ、ということ、奈良の人たちに知ってもらいたいとずーっと思ってました。でも口で言ってもわかってもらえないなと感じることが多いんですよね。

やっぱり以前から言っているように、奈良好きが集まるイベントなどをしていくべきですね~。好きでわざわざ来ている人たちがいることを知ってもらうために。本格的に色々考えていきたいです。みなさまご協力お願いします。

 

しかし普通であれば目標をたてて、それを達成するために行動するのかもしれないですね(笑)私は好きなことをやったりいただいた仕事をやっていくうちに考えがまとまっていくタイプなんでしょう。

まあ根本は私が奈良を好きだからやっていること。誰かのためにやっているわけではないし。全部ひっくるめて人生だし。

よしよしよしのinよしの 開催しました

淑人乃 良跡吉見而 好常言師 芳野吉見与 良人四来三
よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見つ

(昔の立派な人が、素晴らしい所だとよく見て、喜ばしいと言った、この吉野をよく見よ。今の善良な人であるお前たちも、この聖地をよくよく見よ。)

この歌が詠まれたとされる、いわゆる吉野盟約は、

天武天皇八年五月五日→新暦換算で679年5月31日
丁度イベントの2日前ですね。ちょうど今、この季節だったんだな~。
イベント名は5年前に吉野の皆さんに来てもらったイベント名だったんですが(みほこ命名)、時期的にもいい時期だったんですね。

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2018年6月2日、3日によしよしよしinよしのというイベントを開催しました。

私たちはイベントをしても何か仕事をしても、わりと打ち上げ的なことをそんなにしないのですが、フルコトをはじめて7年たって、はじめて全員そろって旅をしました。それが去年の12月。行き先はかねてから泊まりたいと思っていた吉野の三奇楼や東吉野のルチャ・リブロさんなどなど。とても楽しい旅でした。

そのときに、三奇楼やねじまき堂を拝見させていただいて瞬時に「何かやりましょう!!!」と盛り上がりました。

というのが今回、イベントをすることになった経緯です。

とはいえ、元々吉野の皆さんとのつながりはもっと前からで、5年前、4年前のきたまちweek中、フルコトのイベントに来て吉野ならではの1dayカフェを開いてくれたのです。(その時すでにみほこさんが吉野の皆さんとつながりがあったというのもあります)

いろんな作家さんに物販、飲食で出店してもらったり、多種多様なワークショップ、吉野チームによるまちあるき、吉野町教育委員会の池田先生による吉野川流域を語る講座などなど、様々な企画を催しました。夜はデッキで懇親会バーベキューもしました。宿泊は事前に数名募集したのですが、常連の皆様ですぐに埋ってしまいました。皆さんそれぞれ満喫してくださって嬉しかったです。

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この2日間を思い返すとありがたくて嬉しいことばかりで、何にお礼をしたらいいのだろう、と考えていたのですが、とりあえず帰り際、天武天皇持統天皇にお礼をしました(笑)

何より吉野の皆様、参加してくださった皆様、ご協力くださったみなさま、本当にありがとうございました。
地元の方たちがたくさん来てくれて楽しんでもらえたことが本当に嬉しかったです。

地域を愛して、地域のみなさんも一緒に楽しむ、というのは一番根本的で大切なことですね。
当然のことを身をもって実感して、2日間いろんなことに感動しっぱなしでした。
外から行く私たちだけでは、全くなにもできずに近隣の方に迷惑をかけていただけのイベントになってしまったと思います。

私は今回は「奈良が好きだけど、吉野方面には頻繁に行く機会がない」と言っている方たちに、吉野は吉野山もいいけれど、それ以外のところにも良いところがあると知ってもらって、これから何度も来てもらう機会になったらいいなあ、と思っていました。
何より上市を入り口にして行ける南部の村もたくさんある。どの方面に行くにしても、上市の楽しみ方を知っていれば、旅がさらに充実したものになると思うんです。

参加してくださったうちの常連さんたちは、イベントのWS飲食物販も大満喫した上で
ある人は4時半起きで宮滝にいって朝焼けを眺めているし、またある人はまちあるきに参加した上にさらにもういちどめぐったり、川沿いを歩いたりちょぼくのほうに行ってみたり、浄御原神社にもいったり、講座できいた、こばしから妹背山を見にいったりと
想像以上にそれぞれがそれぞれ、楽しんでくれていて、もうもう本当ーーーに!嬉しかったのです。
何人もの人が「また上市に遊びにくる!」私に言って帰っていったのも本当に嬉しかったです。みんな地元の方たちに随時よくしてもらっていたようで、エピソードをたくさん聞かせてくれました。
(私ずっと氷かいてたから報告しにきてもらえてよかった(笑))
満喫したみんながうらやましいぞーーーーー!!

というわけでうらやましいのでわたしもまた近いうちに遊びにいこうと思います。


皆様、本当にありがとうございました。

↓みなさまの反応をまとめてあります

togetter.com

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過去の仕事一覧/2019年9月現在

 過去の仕事一覧、長く更新してなかったので久々に更新してみました。

(2019年9月10日更新)

 

【過去仕事】

今までの奈良に関する一部のお仕事

・2008年から「奈良旅手帖」を刊行。2018年版で10冊刊行

・2009年~2010年まで東京・奈良まほろば館勤務(1F物販)

・2010年

【出版】  「ふたりでいく奈良」(アスキーメディアワークス)刊行

【イベント】藝育カフェSankakuさんで「奈良バー」開催

【講演】  奈良ひとまち大学『奈良に思いを馳せる365日~奈良LOVE女性が作った手帖~』講演

2011年

【開店】  6月 旅とくらしの玉手箱 フルコトを共同運営開始(東京在住のまま運営)

【イベント】東京・世田谷ファームさんと「台風12号の被害における奈良県南部復興チャリティイベント」開催

【講演】  奈良ひとまち大学 奈良に思いを馳せる365日 ~奈良LOVE女性が作った手帖~ 講師

2012年

【出版】 「奈良旅ちょこっとアドバイス」(フルコト社)刊行

【講演】  NHKカルチャー「冬の奈良を楽しもう~奈良旅手帖とともに~」講師

2013年

【執筆】  エルマガジン社「歩きたくなる奈良の本」奈良歳時記・監修

【出版】  マチオモイ帖「洞川帖」刊行

2014年

【編集】  奈良県 記紀万葉名所図会 神様・人物入門編 編集ディレクション

 ●2月奈良に引越し

2015年

【出版】  3月 「ならびたり」刊行

【開店】  3月 奈良市小西町に雑貨カフェBAR ことのまあかり開店

【講演】  7月 奈良ひとまち大学「奈良で遊ぶ、奈良を遊ぶ~カフェから発信する奈良愛」  登壇

【企画】  8月 奈良県 祈りの回廊 企画

【講演】  10月 奈良まほろば館「手帖を片手にあるく旅 ―御朱印でめぐる古の都」(JR東海エージェシー主催)講師

2016年

【編集】  1月 奈良県 記紀万葉名所図会 日本書紀ことはじめ編 編集ディレクション

【企画】  1月 奈良県 祈りの回廊 企画

【イベント】1月 フルコト学校

【監修】  3月 上村恭子ひめみこごよみ 監修

【講演】  3月 奈良ひとまち大学「時空を越えて奈良を旅する」登壇

【講演】  8月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 東京レクチャー

【講演】  9月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 元明/元正天皇 講師

【講演】  10月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 孝謙天皇 講師

【講演】  10月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 光明皇后 講師

【講演】  11月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 中将姫 講師

2017年

【編集】  1月 奈良県 記紀万葉名所図会 日本書紀歴史体感編 編集ディレクション

【企画】  1月 奈良県 祈りの回廊 企画

【出版】  4月 旅人と地元人の「洞川の本」発行

【ツアー】 5月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 井上内親王五條ツアー

【出版】  8月 奈良で出会う 天皇になった皇女たち(淡交社)発行

【出版】  8月 比礼ふる創刊号(ココトソコノ制作室)発行

【イベント】   天皇になった皇女たち 出版記念イベント 

    啓林堂書店奈良店・大和郡山とほん・枚方蔦屋書店・東京 奈良まほろば館

【ツアー】 9月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 元正天皇養老ツアー

【講座】  11月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 県犬養橘三千代

【監修】  11月 上村恭子ひめみこごよみ 監修

【企画執筆】JR東海 やまとみちの会会報「そらみつやまと1~4号」ひねもす奈良まちあるき担当

2018年

【イベント】1月 奈良時代の女性たちの祈りを歩くin東京 東京講座 斎宮になった皇女たち 講師

【制作】  2月 とほん栞展 大和の山々しおり制作

【イベント】2月 図録を見ながら展覧会を語る会

【講座】  3月 元正天皇と水のお話

【講座】  3月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 井上内親王元正天皇県犬養橘三千代 講師

【講座】  3月 奈良時代の女性たちの祈りを歩く 斎宮になった皇女たち
【イベント】1月~3月 2018年冬のイベントについてはこちら→ ことのまあかりイベント情報

【イベント】6月 吉野町上市「よしよしよしのinよしの」

【講座】  8月 「中将姫さまを想う」~ようこそ、称讃浄土経の世界へ~ 

【執筆】  9月 日経おとなのOFF 10月号 飛鳥・平城宮跡ライティング

【企画執筆】JR東海 やまとみちの会会報「そらみつやまと5~8号」ひねもす奈良まちあるき担当

2019年

【イベント】1月 大立山まつり2019 奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり 企画部会委員

【イベント】1月~7月 2019年ことのまあかりイベントについては→ 

フルコト&ことのまあかりイベント情報

【講座】  6月 ポニーの里ファーム・キハダワークショップ内「洞川のとりこ~通いたくなる洞川の魅力」講師

【企画執筆】JR東海 やまとみちの会会報「そらみつやまと9号~」お立ち寄りインフォメーション担当

 【ツアー】8月 生駒あさみさんと行く! 修験道の聖地 洞川プレミアムツアー(やまとびとツアーズ)

【執筆】月刊大和路ならら「続日本紀の旅手帖」(2019年7月号~)

【編集執筆】奈良市観光協会「ならら 秋冬号」西奈良特集ページ担当

ディレクション平城宮いざない館 四季ポスターディレクション

 

 

奈良で出会う 天皇になった皇女たち

奈良で出会う 天皇になった皇女たち

 

nara-furukoto.shop-pro.jp

 

※倉橋みどりさんとの「奈良時代の女性たちの祈りを歩く」サイト→http://naranoinori.info/index.html

 

メディア媒体掲載など(すでに掲載終了しているもの、雑誌掲載などは入れていません)

◎奈良旅手帖

急増する奈良ファン必見!日本の歳時記を手帳とともに綴る1年「奈良旅手帖」 http://mag.fufururu.jp/livelihood/005315.html

自費出版の「奈良旅手帖」が若い女性に人気

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/hit/20091120/1030355/?rt=nocnt

東京在住の奈良好きが作ったガイド本「奈良旅手帖2010」、話題に

https://nara.keizai.biz/headline/288/

 


◎ことのまあかり

奈良好きが集うカフェ&バー「ことのまあかり」 雑貨も充実

http://sankei-nara-iga.jp/news/archives/6403

下北山の郷土料理PR めはり寿司茶がゆ 奈良であすまで /奈良

https://mainichi.jp/articles/20180311/ddl/k29/040/322000c

マイフェバ ことのまあかり

https://www.my-fav.jp/spot/82063/

天平時代へタイムスリップ!奈良の雑貨とカフェBAR「ことのまあかり」

https://www.travel.co.jp/guide/article/10545/

(現在は天平風衣装でお出迎えはしていないです)

テレビ 栗山千明の極める奈良

http://www.ntv.co.jp/miyako/oa/index.html

 

 

お仕事依頼・取材依頼・お問い合わせ等はこちらから

https://ws.formzu.net/fgen/S77375913/

そこかしこに佐保姫

 

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桜が満開になりましたね。例年より少し早いですが、咲き始めたら満開まであっという間でした。

最近はSNSにアップする人が多く、日本全国各地の桜の写真を見ることが出来ますが、同じ川べりに咲く桜でも、佐保川の桜は格別だなあと感じてしまいます。

なぜ格別と感じるのか。長さが5キロ以上にも及ぶだけではありません。それは佐保が春の代名詞であるから。平城京の東にある佐保には、春を司る女神が舞い降りてきます。平安時代の人たちはそのように想像し、色々な歌に佐保姫が詠まれました。(同一視されることがよくありますが、古事記に登場する佐保姫とは別人です)

平安時代になり平城の都が遠くなってから、都の人が想像する架空の女神。春がやってきて咲く桜は、春を告げる佐保姫の象徴のように思えます。美しい姫と満開の桜の花のイメージが重なりますね。

そしてもうひとつ、現代の私たちが佐保姫を想像して春の訪れを感じられるのは、佐保川をはじめ奈良に桜を植えた川路聖謨の偉業があってこそです。川路聖謨が桜を植えたからこそ佐保姫の存在に説得力が増しています。

川路聖謨の人生については2016年に刊行された下記の本に詳しいです。

桜奉行 幕末奈良を再生した男 川路聖謨

桜奉行 幕末奈良を再生した男 川路聖謨

 

ちょっとだけその場の歴史を知るだけで、場所の意味や季節の意味に深みが出てきます。これは奈良のことだけではく、ほかの地域もそうですね。過去のこと、何も知らないなんてもったいないと思うんですよ。感じ方がまるっきり変わりますから。

深く意味を感じることが出来たほうが、ちょっとお得じゃないですか?(笑)

 

追記

 佐保姫という女神がまつられている神社はきたまちにあります。佐保川天満宮という神社です。元々は若草中学校のあたりにあった佐保姫明神という神社でしたが、現在は一条通に面したところに鎮座しています。天満宮なので、毎月25日だけ門が開いて、近くでお参りできますので、この時期には門越しでもいいのでぜひ参拝してみてください。

interesting!→愛

 

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先日、過去の日記を読む機会があったのですが。

穴があったら入りたい!!

というくらいの恥ずかしさでした。過去の自分はまあ得てしてそうなんでしょうけれど、こんなこと今は絶対思わない、というような内容が書かれていました。恥ずかしい以外の何者でもない。

あ、もちろん奈良についての日記です。web上にはもう無いので探さないでください(笑)

若かった。私は何も知らなかった。無知って本当に怖いし、無知だからこその傲慢さがあった。最初の私はこんなふうに奈良をみていたのかと、過去の自分に大きなダメージを受けさせられました・・・。

奈良に通い始めた頃の自分は「好き」と「面白い、興味深い」という目線で奈良をみていたのだと思います。「楽しい!」というテンションはひたすら高かったです。しかし、愛がまだなかった。愛がないから傲慢な書き方が出来てしまった。愛って、知りって、体験してはぐくんで行くものなんですね。人間だって出会っていきなり「愛してる!」とはならないですもんね。そりゃそうだ。

愛があれば、何が失礼で何が失礼ではないのか。というとが理解できます。傲慢だなって思ったことは私がイメージしていた「奈良」と違う部分に対して、都内に住んでいる者の価値観で語ってました。いやいやしかしほんと、それって傲慢でした。

通い、興味をもち、知っていくことでどんどん愛着が深まっていきます。奈良に生きている人たちに出会い、心が動く。歴史を知り、奈良に生きた人たちの思いを知ることで自分の人生がどんどん豊かになっていきました。「おもしろい!興味深い!」という気持ちが湧いたら、そこでとどまらずに時間をかけて愛情にしていく。そういうことが大事なのかもなと思います。愛するものは、大切にしたいですもんね。

最近、文化財の活用活用という言葉をよく聞きますが、活用する側が愛を持っているか。というのは非常に大きな問題かもしれません。愛があれば残すべきもの、伝えていくべきことというのはおのずと知れてくると思うんですよね。行政さん、知って!愛して!それから活用して!(笑)

素晴らしい作品を手がけるのにものすごく自分の作品に謙虚な方がいらっしゃいます。長年様々な体験をして、たくさんの人を知っています。その方は、だからこそそのように謙虚になられるのだろうなあ。と思っていたところでした。(その後自分の傲慢な日記をみて、落ち込んだ)

知ることで謙虚になれる、そういうことを忘れずにいたいです。

山の名前を知っている。

 

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前回のブログに、とほん栞展で「大和の山々しおり」というものを出したと書きましたが、

asamiikoma.hateblo.jp

購入した方の反応を聞くと、奈良のみなさん、奈良好きな皆さんは山の名前を知っているんだなあ。としみじみ思いました。

私は実家にしても、両親の地元にしても、大きな山以外の山の名前を全然知りません。身近な遊び場になるような近所の山の通称の名前は知っていても、正式名称は違っていることもあります。あの山の名前は?と聞いても親も知らなかったりします。

でも奈良の山の名前って知られてるんですよ。なぜかといえば古事記日本書紀万葉集に載っているから。しかも載っているだけでなしに、昔から住んできた人が呼んでいた山の名前を、子孫に伝えてきているのです。百人一首などで教科書で触れることがある、天香具山や手向山が過去の呼び名で今はどの山のことをさすのかわからないのではなくて、現在もちゃんと呼び続けられているんですよ。

三輪山の滑らかな美しさと神婚伝説。神武天皇が越えられなかった生駒山(私は自分の姓と同じというだけでやはり一番最初認識したのが生駒山でした)。阿倍仲麻呂が唐から思いを馳せた三笠山万葉集に名だたる大和三山大津皇子が眠る二上山。山焼きをする若草山一言主の神がおわす葛城山などなど。役行者の伝説とともにある吉野山中の山々。山エピソードにことかかないのです。神々の物語や、人々が生きた話。死んだ話。そういうものと山がずっと一緒にあったんですよね。

私は海が好きで、小さい頃から海がないところでなんて生きていけないと思ってました。就職してからも(会社が一度移転してからは)一駅いけば海が見えるところでした。(東京湾で美しくはないですが)海は私の気が休まる場所でした。

そんな私がもう5年も海のないところに住んでいられるのは、人々が長い歴史をつむぎ、思いをかけていった山々に、守られているような気がするからでしょうか。

山々に過去の人がかけてきた思いを知り、気持ちを寄せることが出来るというのはなかなかないことですね。

奈良の山、大好きです。

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人々が長い歴史をつむいでいることの実感しかないな、と思う。奈良に住んでからは。

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栞展は今度の日曜日、3/4で終了です!本当にありがとうございました。今後フルコト、ことのまあかりでも販売すると思います。いつになるかはまだ未定です~

2014年2月22日

写真は今年の旧暦元旦の石上神宮

 

2014年の2月22日は奈良の部屋の鍵の引渡しのために、引越し前に奈良に来た日でした。私にとってラストとなった奈良通いの日が丸4年前の今日です。この後に奈良に来たのは引越しのため。それから住んでいます。

本格的に「引越ししよう」と決めたのは前年の11月ごろだったでしょうか。それから物件を探していたものの、1月末くらいまで全く決まらなかったんです。確定したのは2月に入ってからだったかな。それまでも、奈良で仕事が増えてきたのでアパートや家を借りたりしていたのですが、本格的に住むことを考えたときになかなか決められず。実は明日香や橿原のほうも視野に入れてたんですよね。洞川の物件もみていました。色々と検討した結果、今の家に決めました。

この時はいつものように夜行バスに乗って、ふと「今日が、奈良に通った最後の日なんだ」ということに気づいて、FBに書き込んでいたようです。

それがこれ。

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このときの気持ちはとても覚えています。距離があるからこそ、奈良に対する思いを募らせていた部分があったので、住んでしまって大丈夫なのだろうかとずーっと思ってました。住んだら奈良の魅力が褪せてしまわないかと心配してくださる方もいるたというのは本当で(笑)「大丈夫です」と書いてますが少し不安もあったんです。生活と憧れは切り離したほうが幸せなのではないかと思っていました。

かつて私は、奈良に住んだことがないというだけで軽い扱いを受けたことがありました。好きなのに住んだことがないなんて、と。

その時に「住まなくたって奈良好きには変わりないということを体現してやる」という意地があったんですよね(笑)。とはいえフルコトの仲間も出来たし、お仕事も増えてきたし、奈良に住んだほうが良いな、と思う転機もあり、その意地は消えました(笑)まあ意地になってるのもおかしい話ですが。

通うことで奈良に行くまでの間に予定を立てて、限られた時間の中でたくさんの体験をしてきました。今私が奈良で楽しく生活できているのはその体験のおかげです。

住まないとわからないことがたくさんあったのは事実でした。でも通った15年はなかったことにはできません。住んでいなかったからわかること、住んだからわかること。その両方があって、今の私があるのは確かなので。今は逆に私に対して住んだことがないくせに、と言ってきたおじさんに感謝します(笑)。

住むことで一番実感したのが、奈良の様々なことが「我が事」になったということでしょうか。自宅や、お店をやっている場所の歴史を知ることは、ただ奈良の知識を増やすというだけではなくて、自分につながるんです。

先日みつけた「平城坊目考」という本で奈良時代以降に、今自分に関わる場所はどういう場所なのかということを知りました。ご縁のあった場所に生まれ育ったわけではなくても現在の自分につながっている。

我が事目線でみると、また違った奈良がみえてきます。本当に奥深くて、奈良への興味は全然つきないです。5年目の奈良も楽しく旅と生活をしていきたいと思います。

 

ちなみに去年は引っ越した2月28日にブログ更新してましたねー

 

asamiikoma.hateblo.jp

 

4年目の奈良はインプットにも力を入れて、奈良のことをもっともっと知る年にしたいです

 とか書いてましたが、冊子や本など5冊も出すという、これまでで一番アウトプットしたい年でしたよ…。とはいえまだまだ奈良のこと新鮮に知ることが多いです。インプットする時間をつくるということかな~。本を読んだり、あちこち行って体験すること。様々なことをしていきたいです。

 

 

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この2014年2月22日に開店した、大和郡山とほんの第四回栞展に参加してます。4年前の初日に伺ったのは、本当につい最近のことだと思ってたんですがあっという間ですね。

マスキングテープやミニクリアファイルなどのグッズ展開をしている「大和の山々」シリーズの栞です。

調子に乗って16種類作ってしまいました(笑)。3/4までの期間ですが、とほんに行ってぜひ見ていただけると嬉しいです。(ほかには下記のものが。全16種類)

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