奈良旅×生活

奈良旅のこと、奈良生活のこと。

うつわと出会って、旅の買い物観が変った話。

フルコトの一階の器人器人さん。ご縁があって1階、2階でお店をシェアするようになってから今度の6月でもう5年になります。早いなあ。

器人器人さんがセレクトする器はおちついてしっとりとしたものから可愛いものまでいろいろあります。店番でフルコトにいくときには何を盛りたいか。と妄想をめぐらせることが好きです(笑)。あとこの器は誰かにあげたい!と思うものも多くて、何度かプレゼントにも買わせていただいています。ことのまあかりでホットケーキやバームクーヘン用に使っている器も器人器人さんで購入したものです。

先日入荷していたお茶碗が素敵で、悩んでいるうちに売り切れてしまいました。そうだよね・・・。自分でもお店番中に同じようにお客様が買おうかどうか悩んで、後から買いに来られたときはすでに売り切れていて、ごめんなさい~。としたことが何度もあるのになあ。と後悔しました。(一度見たものがずっとその店にあるわけではなく、めぐりりあいだと思いますので、皆さん「これは」と思ったものはすぐ買ったほうがいいですよ。私が言うなって話ですが(笑))

お茶碗は割れたら新調するものだ、と思っていたのですが、その考えは捨てて、気に入ったものがあったらすぐに買って、今後は気分によって使い分けていこうと思います・・・。

 

器人器人さんで扱っていた、うつわ、うたたねさんの器。

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いま自宅で使ってるお茶碗はかなり昔に高畑のあんず舎さんで買ったもの。あの時はまだ東京在住で、会社勤めをしてました。お茶碗のような生活用品を旅先で買ってもいいのだろうか?移動距離長いし、割れたら・・・。などなど、決意するまでお店の中で延々と考えたりもしましたが、器とは出会いですし、量産しているものではないので、同じものにはめぐりあえない。と思って買いました。

結果的に買えてとても良かったです。使っているときに、奈良の思い出も一緒によみがえってくるので、日常と奈良がまざったような入り込んできたような気持になりました。これ以前に酒器を買ったことはあったのですが、毎日使うものではなく普段づかいのものというのが、私にとってははじめてだったので、意識が大きく変わりました。
それからは旅先だからとか考えずに気に入ったものがあれば普段使いするものでも奈良で買い物するようになりました。
むしろ積極的に普段使いのバッグや下着、衣料品、靴下などなどの生活用品を奈良で買って東京に帰ることが増えました。最初から旅行に持って行かないで奈良で新調する、ということが最終的には多くなりました。

奈良好きな旅人の中には、奈良にお金を落としたいと生活用品を奈良でわざわざ買っていく人たちもいます(わたしはそういう意識ではなかったのですが)。帰りに荷物で重くなっても奈良で買う。というか、近所のスーパーにいくのと同じ感じで、帰り際に買い物をしていく。それが楽しいのだそうです。洗剤とかまで買っていく話を聞いて驚きましたが、同じものを買うなら奈良にお金を落としたいのだそう。

こういうふうに考えている方たちが、より奈良を楽しんでくれるようなことをもっともっと考えて、一緒に奈良を楽しんでいけたらいいなあと思っています。

佐保姫が降りてきた

佐保山に宿る女神様のことを佐保姫と呼び、佐保山からおりてくる春霞は佐保姫が織り成す衣だと伝えられてきました。

平安時代には佐保姫の名前は春の代名詞として様々な歌に詠まれてきました。

奈良から遠い平安京で、奈良の地に訪れた春を想像してきた人たちがいます。そして千年たった今も、佐保姫が訪れた「春」の空気が奈良にはあって、それを肌が感じるのです。

佐保姫が降りてくれば、桜の花が咲く。

佐保川に咲く桜がそろそろ満開になりそうです。昼間の青々とした空の下の桜も、曇天の空に薄墨のようにうつる桜も、本当に本当に美しく、たくさんの人を魅了します。この桜の花を愛でるために、遠方から訪れる人も少なくないです。

昼間の桜もいいのですが、薄暗い早朝か、深夜の人の気配がない夜の桜も良いのです。ライトアップされてない桜は艶かしい色気が漂っていて、佐保姫の普段みられない表情をみてしまったような気分にさせられます。暗いので写真も撮れないから、余計にそんなことを思ってしまうのかもしれません。

 

季節を女神にたとえることが出来て、その女神がいるかもしれないと感じることも

いにしえから思いを馳せてきたひとたちがいた奈良ならではのこと。

桜が散るまでいろいろな空想をめぐらせて、花を愛でられる季節を楽しみたいです。

 

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「時空を越えて奈良を旅する」に登壇させていただきました。

3月27日に興福寺会館さんで奈良ひとまち大学「時空を越えて奈良を旅する」に登壇させていただきました。

興福寺の辻さん、奈良文化財研究所の馬場さん、司会に奈良.FMの中川さんというメンバーの中、とても緊張しておりましたが、なんとか自分が思っていることなどを伝えられたかと思います。貴重な機会をいただき、ひとまち大学の皆さん、本当にありがとうございました。ひとまち大学に登壇するのは今回で三度目ですが、毎回、話をすることで自分の中のことが整理できます。

辻さんと馬場さんの中金堂についてのお話が楽しくて興味深く、私も聞き入ってしまってました(笑)

 

実はフルコトをはじめてから奈良に通う頻度が高くなったこともあって、2011年から2年ほど五重塔の真下にあるアパートを借りていました。借りるときにも「奈良が好きで県外から来る人が借りるアパート」だと不動産屋さんが言っていましたが、アパートの出入り口の真上が五重塔なのです。そして家を出たらすぐ五十二階段、猿沢池、鹿。という環境でした。入るときも出るときもいつも見上げていましたし、手を合わせていました。22時ごろまでのライトアップがどれだけ心強かったか。

境内の外とはいえ限りなく近いところで日々寝泊りできるというのは、かなりテンションがあがりました。朝、目が覚めたらすぐに五重塔、なのです。境内を通るときには毎回お堂や塔を拝めたり、ちょっと時間があれば参拝できたりと、この部屋を借りていた2年間は相当興福寺さんにお世話になりました。今もことのまあかりからは本当にすぐの場所にあるので、何かあれば参拝にいっています。手を合わせられる対象が身近にあるということは、幸せなことだと思います。

なので、興福寺さんでこうしてお話させていただくことになるとは思ってもみず、不思議な感じでした。本当にありがとうございました。

 

トーク中でも2009年の阿修羅展の話題が出ましたが、わたしもその時のことを思い出しました。ここにいる人たち仏像に興味があるなら全員奈良に来たらいいのにー!!とずーっと心の中で思っていました。

実際、阿修羅展ふくむ、奈良のお寺の展覧会がきっかけで奈良に来た方たちもたくさんいるのですが、東京の展覧会に来るのを待ってる人もとても多いですよね。現地に行くのはお金がかかるんです。が、こういう展覧会に来るということは興味があるということなわけだし、博物館だけで納得するのではなくて、奈良の空気を体感してもらえたらいいのにな、と心底思って行列をみていました。

関東の人たちは京都や奈良に対して、西の人たちとはまた違う目線でみていますが、修学旅行の思い出と、JR東海ツアーズさんの美しいCMと、こういった展覧会の際の来場者(待ち時間)の情報があるから、というのもあるのかなあと思ってます。

私は奈良が好きな人たちに奈良にきて楽しんでもらいたい、一緒に楽しみたい、そして奈良楽しいということを常に言っていきたいというのがあるんですが、奈良に興味を持ちそうな、「奈良っぽい感じ」が好きそうな方たちには積極的に奈良のよさをすすめて、奈良に来てほしいなと思っているので、そういう方たちににめぐりあえる可能性が高いひとつの要素が東京での展覧会なのかなと思います。そういう展覧会などで「奈良に行く、行こう!!」と思わせるようなきっかけが出来るといいな、といつも思っています。

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井上内親王生誕1300年祭

昨日、五條の御霊神社めぐりをしてまいりました。

聖武天皇の長女で、斎宮をつとめ、光仁天皇の妃であった井上内親王という女性がかねてからとても気になっていました。

井上内親王の死後から天変地異や悪疫が流行し、彼女のたたりだと恐れられたことから御霊として祭られました。井上内親王を祀る御霊神社は、御陵のある五條に数多くあります。(五條の地名が御霊からきた説もありますね)

いくつかの御霊神社には以前から参拝したことがあったのですが、本宮である霊安寺町の御霊神社さんには参拝したことがなく今回はじめて行きました。

鳥居の外から中をみたら、拝殿のところに

井上内親王生誕1300年祭」という幕がかかっておりました。

来年平成29年の10月21日、22日とのこと。

井上内親王といえば畏怖の対象。亡くなってからずっと怨霊として扱われてきた人が「生まれて」から何年の年という祭をされる!ということは、凄いことではないでしょうか。井上内親王が生まれたということのお祭。そう考えていたらなんだか泣きそうになってしまいました。また「生誕祭」の響きが祝祭的なムードを感じるということもあって、内親王が生まれ、存在していたことを、祝福するようなかんじに思えてしまいました。(実際のお祭はそういうものではないかもしれませんが)

 

頂いてきた御霊神社縁起をみると、この土地の伝説がいろいろあって

光仁天皇の名前である「白壁」は塗らない、とか藤原百川の讒言によって冤罪を蒙ったので「桃は育ったない」とか、井上内親王寄りなんですよね。大切に祭られてきたのだなと感じます。

五條の方々に井上内親王のことを色々と聞いてみたいです。

 

ちなみに昨日は早良親王好きな方と一緒だったので、早良親王も祭られている神社をメインに回りました。

栄山寺(御霊神社(小島))→井上内親王陵→他戸親王墓→御霊神社 本宮(霊安寺)→恵比須神社御霊神社お旅所)→ 御霊神社(中之)→御霊神社(岡)→宇智神社(安生寺)→ 御霊神社(西阿田)→御霊神社(牧)

というかんじで参拝してきました。まだ他にもたくさんありますし、京都の御霊神社系にもお参りして来たいです。

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洞川が好きで仕方ない(1)

奈良南部に本格的に足を踏み入れたのは2010年でした。それまでも、天川吉野十津川五條は何度も行ってはいたものの、南部の魅力に魅せられて、何度も通うことになったきっかけは2010年です。なぜ2010年だったかというと、とにかく人が多かったから。

平城遷都祭のとき、ご開帳づくしの奈良(吉野町より北)は今まで直接目のまえで拝めなかった様々なものに参拝することが出来たり、入れなかった建築物の中に入ることができ、様々なものが目白押しでした。その機会だからこそ行けたところもあって楽しかったのですが、普段静かに参拝していたところが常に人だらけ、というのはちょっとしたストレスだったのかもしれません。

それと、無料や割引で使える施設が掲載されているパスポートが販売されたので購入したのですが、わりと南部の温泉施設なども多かったのです。せっかくなので使いたいから色々行ってみよう!とまずはそれ以前に日帰りでちょっとだけ行ってみた洞川へ、GWに行くことにしました。

2013年に発行した「洞川帖」洞川帖 - 旅とくらしの玉手箱 フルコト通販という冊子の中でも触れていますが、このとき一泊した洞川に、何か新たなスイッチを入れてもらったようです。大好きになってしまい、この時から丸4年間、東京にいるときから毎月通いました。洞川に行く前後に南部のほかの土地にも寄るようになり、南部のほかの場所もどんどん好きになりました。

水が綺麗だったり、空気が綺麗だったり、ご飯が美味しかったり、温泉が気持ちよかったり、星が綺麗だったり、町並みに風情があったり、地元の人たちと交流するのが楽しかったりと、いろいろですが、何よりも地元の人たちの「信仰とともに生きている」姿、そして、信仰とともに長い間培われてきた「旅人を受け入れてくれる力」に惹かれているのかもしれません。

私のつたない文章では洞川の魅力の何万分の一も表現できていないので、興味を持ったら即行ってもらいたいです。

奈良が好きで好きで、でも「どこが一番好きなのか?」と聞かれても、好きなところが多すぎて「ここ!」といえるところがなかったのです。が、今は洞川が一番好きだとはっきり言えます。

そんなわけで洞川のエピソードはこれからいくつも書いていきたいと思います。

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平城宮跡と近鉄電車

夜の近鉄電車に乗り、車内に人が少ないときにするひそかな楽しみがあります。

ライトアップをしている時間帯に平城宮跡を通過するとき、大極殿を背にする形で座席に座ります。すると、朱雀門のところで大極殿をバッグにした自分が、対面の窓に映るんです。

ほんの一瞬のことですが、朱雀門、自分、大極殿が重なる瞬間があります。大極殿を背景にした自分がみられるということがなかなか楽しいのです。誰かに写真を撮ってもらっても、朱雀門がむこうに見える状態で大極殿と自分が見えるということもこの時にしか楽しめません。夜なこともあいまって、時間を越えて不思議な感覚に陥る瞬間です。ちょっと面白いので、車内に人が少ないときはお試しください。

近鉄電車といえば、ちょっと前から平城宮跡を通るときに大極殿朱雀門を案内するアナウンスが入るようになりました。(いつでもあるわけではないようですが。)

アナウンスが入ると車内にいる観光客は外をみて、大極殿朱雀門に気づき、わあ!と歓声を上げます。はじめてこのアナウンスを聞いて車内の人の反応を見たとき、なんだか嬉しくなってしまいました。

宮殿があった場所だからといってこんなに広い範囲で残されている場所というのは、他にはあまりありません。見渡す限りの広い土地と空。そして昔から変わることのない山々に囲まれた場所。足元には遺構や遺物が眠っている…。都だったのはたった80年数年でしたが、様々な文物がやってきて、様々な出来事が生まれていった時代でした。旅する者にとっては、歴史に様々な思いを馳せられる場所のひとつでもあります。

 

わたしが奈良に通い始めた最初のころは、JRを利用したり夜行バスで奈良に直通で入ってしまったり、阿部野橋から飛鳥方面に直接行ってしまうことも多かったのです。なので京都駅から近鉄に乗って、平城宮跡に入っていくときの感動を知ったのは、旅をしはじめてから数年経ってからでした。

初めて通ったときの「ああ私いま、奈良に入ったんだ!」という感動は、今でもまざまざと思い返せます。あの体験をしてから今はもう奈良を出るときも、どこかから奈良に帰ってくるときも、ほとんど近鉄を利用するようになってしまいました。

朱雀門の内側から、いってきます、内側へ、ただいま。と出来る今の環境はとても幸せです。

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奈良の宣伝は中央線沿線で

東京に17年間住んでいましたが、奈良に興味を持ちそうな人が住んでいるのは、中央線沿線、中野~三鷹くらいまで、というイメージがあります。「奈良を知ったら、一度来てみたら、奈良を好きになってくれそうな人が居るのでは?」と思うんです。

これを東京に住んでいる奈良好きな人に言うと、わりと納得されることが多いので、あながち間違いではないのかな?と思っています。

なので、奈良の宣伝を都内の主要駅でやるのも大切ですが、この沿線でやればいいのになあと以前からずっと思っていました。奈良を好きになってくれそうな人がいる、来る沿線なのではないかなぁ・・・。

この付近には、のんびり過ごせる場所があるし、ほどよく自然もあるし、個人で営業しているようなお店も多いし、買い物も生活も便利で面白いところが多くて生活しやすいです。西荻窪が好きで通っていたこともありました。住んでいたこともあります。西荻窪あたりがなんとなく奈良の空気に近いと思っていて、勝手な擬似奈良を西荻にみていたところがあったかもしれません。今は駅も新しくなって変わってしまったところも多いのですが、10年くらい前の西荻は、10年くらい前のならまちと通じる空気があったと思います。(個人の主観です)。

 

杉並区の一部では京成バスが走っています。京成バスは夜行バスを奈良交通と共同運行しているので、私が住んでいた当時は車内に奈良広告が貼られていました。朝通勤途中にその広告を偶然見かけると、元気が出ましたね。

「奈良は朝がいいですよ」というポスターだったと思います。ネットで探しても見つかりませんが、奈良交通さんなどに尋ねたらわかるかな?

見かけるたびに奈良へ行きたい思いが募ったものでした。